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自身が“楽しいこと、面白いこと”を続けることが、
新たな活動のフィールドを紡ぐ。

ポタガール/コンサルティング会社勤務    小林 玲香

  

掲載日2019年04月15日

埼玉県と自転車を愛する女性グループ『ポタガール』での活動。その活動から生まれるポジティブなマインドが、まちづくりに寄与する事例を紹介する。

『じてんしゃ王国 埼玉』が
バックアップする女性グループ『ポタガール』

自転車発祥の地といわれ、高い自転車保有率を誇る埼玉県。
関東平野の内部に位置する埼玉県は、山地面積がおよそ3分の1、残りの3分の2を平地が占めている。
埼玉県ではこの平坦な地形を活かし、『じてんしゃ王国』として自転車の利用を促進するさまざまな活動を行っている。

その活動の一環として2011年から展開しているのが、広報キャンペーン『LOVE bicycle SAITAMA』だ。
この『LOVE bicycle SAITAMA』は、埼玉の魅力と自転車の楽しさを全国に向けて発信しているもので、ウェブサイト『ポタ日和』の運営や、埼玉県と自転車を愛する女性グループ『ポタガール』のバックアップを行い、『じてんしゃ王国 埼玉』をPRしている。(※)

現在『ポタガール』には12名の女性が在籍しているが、今回紹介する小林玲香さんは結成当初から活動を続けるメンバーの一人だ。

※『ポタ日和』『ポタガール』の語源ともなっている“ポタリング”は、呼吸を乱さない程度の速度で、近郊を散歩感覚で走るサイクリングのことを指す。

母に勧められて参加したジュニアリーダーとしての活動が
現在の活動のスタートライン

「埼玉生まれの埼玉育ち。現在は仕事も県内で勤務しています」と語る小林さん。活動のルーツは幼少時の体験にあるという。

「小学校5年生のときに母に薦められてジュニアリーダーに参加したんです。子供会で地域活動を行うジュニアリーダーは、主に自治体が主催するサマーキャンプなどのイベントをサポートします。学区や世代を超えてさまざまな人たちと交流することができるジュニアリーダーの活動がすごく楽しくて高校卒業まで約8年間続けました。このときの体験が私の活動の源泉になっている気がします」(小林さん)

大学に進学した小林さんは、あるとき掲示板に「キャンプカウンセラー募集」という張り紙を見つける。このキャンプカウンセラーとは、当時秩父市にあった県営キャンプ場でオンシーズンの運営を手伝うものだったそうだが、小林さんは「ジュニアリーダーでの経験も活かせそうだし、なんだか面白そうだったので、その場ですぐ応募しました」と笑顔で語る。

4年間活動を続けたキャンプカウンセラーでは多彩なネットワークが生まれ、そこで育まれたコミュニティは現在でも継続しているという。


ジュニアリーダー(写真上)、キャンプカウンセラー(写真下)として活動していた小林さん

就職後しばらく仕事に追われる日々を過ごしていた小林さんだったが、「面白いこと、楽しいことをしたい!」という熱は冷めやらず、今度は地元・所沢のよさこい踊りのチームに参加、メンバーの誘いでロードバイクも始めた。

「埼玉県で生まれ育ってきましたが、若い時は東京への憧れもあり、正直そんな魅力的な場所なんてないだろうなと思っていたんです(笑)。でも、自転車で美しい場所を走ったり、おいしいものを見つけたり、素敵な体験が色々ありました。今思うとよさこい踊りでの活動と、サイクリングでの体験を通じて地域活動や地域貢献について意識するようになったのかもしれません」(小林さん)

8年目を迎えた『ポタガール』の活動。
『これからもがんばってね』の言葉が活動の原動力に

そんな小林さんが『ポタガール』になったのは、ブログを見たのがきっかけだという。

「『ポタガール』の募集を見つけたときに、『埼玉も好きだし、自転車も好き。面白そうだからやってみたい』と思ったんです。私ってやっぱり“面白そうなもの”に挑戦してみたくなるんですよ(笑)」(小林さん)

埼玉県では『ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム』や『埼玉サイクルエキスポ』などの大規模なイベントをはじめ、一年を通じて大小さまざまな自転車の大会やイベントが開催されている。『ポタガール』はこれらイベントに参加したり、日々の活動やサイクリングの様子などをブログやフェイスブックで紹介して、埼玉のPRと自転車の楽しさや安全利用の普及活動を行っている。

2018年に開催された『ときがわ町サイクルフェスタ』

「仕事をしながら続けるのは大変だねといってくださる方もいるんですが、本当に楽しくて、気がつけば『ポタガール』としての活動も8年目になってしまいました」(小林さん)

そんな小林さんに活動の原動力はなんですかと問いかけてみた。

「参加者の皆さんと直接交流できる機会は多くないのですが、それでも『いつもブログを見てるよ』『これからもがんばってね』と声をかけていただけると本当にやっていてよかったなと思います。あとは私たちの活動期間中に女性のサイクリストが大幅に増えているなあと感じられることも大きな励みになっています」(小林さん)

近年では県主催のものだけでなく、市町等が企画するイベントも増えてきており、自転車に対する関心が地域にまで広がってきているのが実感できるようになったという。

「自転車は性別世代を問わず誰でも気軽に楽しむことができますし、移動手段としてはもちろんですが、運動やリフレッシュなどにも効果的です。車では気付くことができない新しい発見もたくさんあります。埼玉県だけでなく、全国的に自転車がますます普及していくといいですね」(小林さん)

四季折々『ポタガール』として埼玉県の魅力を発信し続けている

『ポタガール』での経験を活かして、新しいステージへ

小学校時代からスタートした小林さんの“楽しいこと、面白いこと”を探す旅は、ジュニアリーダー、キャンプカウンセラー、よさこい踊り、そして『ポタガール』での活動と続いてきたが、最近では新しいステージも生まれつつあるという。

「これまで埼玉県をフィールドに活動してきましたが、『ポタガール』での経験を活かして、ほかの県や市区町村でも何かできることがあるかもしれないと、自転車のまちづくりに取り組む地方の地域づくりプロジェクトなどにも参加し始めました。それでご縁ができた自治体さんに、2019年2月に開催された『埼玉サイクルエキスポ』に出展していただいて、本当にうれしかったです」(小林さん)

仕事を持ちながら、その時々で自分の興味のあることに取り組むことに対して、「仕事ではできないことを、それ以外の活動で実現できることもありますし、活動での経験が仕事に活かされることも少なくありません」と小林さんは語る。

「例えば私は仕事ではあまり人前で喋ることはないんですが、『ポタガール』ではたくさんの方の前でマイクを握ります。また、仕事だけでは決して巡り会えないような多くの方と知り合うことができました。そういう経験は仕事にもきっと役立つときがくると思います」(小林さん)

興味のあることを、気負わず、気楽に始めてみることが出発点に

「私は好奇心旺盛で、一度始めるとのめり込むタイプなんです(笑)。やりたいことを続けていた結果、今の私があると思っています。興味をもったことにはどんどん参加してみればいいし、しんどくなったらやめればいい。皆さんも気負わず気楽に、“何か”を始めてみてはどうでしょう?」(小林さん)

小林さんのお話を聞いていて感じるのは、「常に自然体である」ということ。
仕事を持ちながら“自分が楽しいこと、面白いと思うこと”を長年続けていくことで、自身が意図しないうちに、人と人、人とまちとを結び、結果としてまちづくりに寄与している好例といえるだろう。

地方自治体をはじめとした行政機関やNPOなどの団体が、小林さんのような人たちの興味を刺激し、その活動の受け皿を提供していくことで、協働を図り、新しい可能性を創出していく今後が楽しみだ。

小林 玲香

埼玉県出身。学生時代はデザインや建築を学び、建築設計事務所を経て、現在の建設コンサルタント会社に入社。マンションのリノベーションや、団地再生・活用に係る業務に従事。2012年より埼玉県が展開している自転車広報キャンペーン『LOVE bicycle SAITAMA』にポタガールとして参加。また、女性をターゲットにしたサイクルツーリズム『女子ポタ会』『Saitama Women’s Ride』を主宰。埼玉県公式ホームページ内『ポタ日和』への寄稿のほか、自身のフェイスブックやインスタグラムでも発信中。

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